最近患者が多くなってきていると言われている子宮内膜症ですが、その原因はどんなことから起こるのでしょうか。また、近年になって増加してきているのはどうしてなのでしょうか。何故痛みが出るのでしょうか。年齢と共に症状が重くなる人がいるようです。これは生理を迎えるたびに子宮内膜症の症状が進んでいくためなのです。生理の回数と子宮内膜症の進行具合は深く関係しているのです。
解明されていない?
実は子宮内膜症が発生する原因は、はっきりとは解明されていません。現在言われているのはあくまでも仮説であって、絶対なものではありません。
一つは子宮内膜移植説で、本来、生理の血液は下に排泄され、膣を通って体外に排出されます。この血液が卵管の方に逆流してしまい、お腹の中に出てしまい、排出されることなくそのままとどまってしまうというものです。
もう一つは体腔上皮化生説と言うもので、腹膜が、何らかの原因で子宮内膜に変化して、子宮内膜症になるというものです。前者が有力視されていますが、まだ確定の域には達していません。
子宮内膜症が増加しているわけ
子宮内膜症が年々増加しているのはどうしてなのでしょうか。これは生理の回数に関係してきます。子宮内膜症は、生理の回数を重ねるたびに症状が重くなっていく特長があります。
初めての生理を迎える年齢が早くなってきているのに、閉経する年齢は誰もが同じくらいの年齢です。ですから、生理のある期間が長くなってきているのです。更に、結婚する年齢も遅くなったり、子供を持たないと決めて結婚生活を送っている夫婦もいます。
これにより、妊娠することがないために生理が中断することもなく、女性が一生で経験する生理の回数は、60年以上前と比べ10倍になっています。昔の女性は生理を迎えてすぐ、幼さの残る年齢で嫁に出ていました。
そして妊娠・出産を多い女性では10回以上も繰り返し、授乳していると生理の再開も遅れ、産後初めての生理を迎える前にまた妊娠、ということも珍しくありませんでした。こうして昔の人は生理を迎える回数も少なく、子宮内膜症にもなりにくかったと言えるのです。
痛みの原因は?
子宮内膜症の痛みの原因は、女性ホルモンの影響で生理周期に合わせて子宮以外で発生した子宮内膜が増殖して厚くなり、剥離しても排出される場所がないために炎症を起こします。
ひどくなると出血している部分を体が傷として認識し、治そうとして病変が起こっている部分に膜を貼ろうとします。これが癒着を起こす原因になり、痛みが発生します。
特に、癒着を起こしている場合の痛みは激しく、生理時には寝たきりでトイレも這って行くという人がいるくらいです。痛みがあったら我慢せず、子宮内膜症を疑って産婦人科の診察を受けましょう。
腰痛の原因は癒着?
女性であれば、程度の差こそあれ、ある程度の生理痛は誰でも経験しています。しかし、日常生活に支障が出るほど痛むのであれば、子宮内膜症を疑ってみてもいいでしょう。
注意しなければいけないのは、生理時以外でも下腹部に違和感や痛みがあるときです。同時に腰痛や股関節痛が起きる人もいます。子宮内膜症によって癒着を起こしていると、腹痛ばかりではなく、痛みが腰に抜けて腰痛になる場合もあります。排便痛がある場合も、癒着が考えられます。
子宮と直腸が癒着を起こしていると、排便するときに肛門の奥に痛みを覚えます。こういった症状があれば、癒着を起こした子宮内膜症の可能性がありますので、早めに治療をしなければいけません。生理を迎えるたびに症状が進んでしまいます。一度できてしまった癒着部分は薬では治療できません。手術ではがし取るしか方法がないのです。